にわかに注目を浴びた「インパクト指標」
サステナビリティ経営の観点から「インパクト」という言葉がにわかに注目を集めています。既に金融庁や環境省で勉強会が継続的に開かれており、岸田首相の初の施政方針演説でも「インパクト投資」というワードが登場しました。
そして2022年6月14日に経団連が公表した「“インパクト指標”を活用し、パーパス起点の対話を促進する」においては、従来のESG活動におけるKPIを一歩進めた「インパクト指標」の導入が提言されています。
企業の非財務情報開示が投資家に届かないのはなぜか
既に大きなムーブメントとなっている「ESG」については、各社が統合報告書などを通じて活動報告を実施しています。パーパスやマテリアリティの設定、それに基づく長期的な戦略などを示している企業も増えています。しかし、それが投資家に届いているかというと、そこにはギャップがあるようです。
投資家の立場に立つと、企業価値を判断する材料となる情報が必要です。すなわち、各企業が設定しているマテリアリティがどのような将来像に結びつくものなのか、それはどのくらい競争力を持つものなのか、実効性の観点ではどうなのか、といった評価をするための情報が欲しいのです。できれば定量的なデータとして確認したいですし、他社と比較をしたり、時系列変化を見たりといったことも求めています。
企業側としては非財務情報を含めてできる限りの情報提供をしているものの、投資家側から「日本企業は情報開示が全く足りない」という声がでてきてしまうのは、こういった意識の違いが背景にあります。
企業と投資家の共通言語として期待される「インパクト指標」の要件
インパクト指標の要件として、前述の経団連レポートでは以下が挙げられています。
重要性:企業価値に重要な影響を与える社会課題を示す指標
将来性:事業やイノベーションの将来の競争力を示す指標
実効性:事業やイノベーションがもたらす、企業のステークホルダーへの貢献を示す成果指標
測定可能性:インパクト指標自体が定量指標
このような指針が示されたことにより、企業側としては非財務情報をより定量的に可視化する取り組みが進んでいくことでしょう。インパクト指標が企業と投資家の共通言語となり、そのギャップが埋まっていくことで、企業価値がより適正に評価されるよう期待されます。
■アスタミューゼのサービスについて
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