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執筆者の写真THE CODE 編集部

アクティビストを追う投資は個人投資家こそ有利



アクティビストとは、企業に経営改善や株主還元を求めることで株価を上げ、リターンを生み出す投資家を指します。海外では運用する資産が数兆円規模というアクティビストが複数おり、企業に一定の影響力を持っています。


日本でも、非効率な資本政策をとっている上場企業が多いこと、株主価値への意識の高まりなどを背景に、アクティビストやアクティブ投資家の活動が増えています。このプロ投資家を追いかける戦略が、アクティビストへのコバンザメ投資です。



アクティビストの姿は見えなくても、動きは大量保有報告書に表れる


 アクティビストの多くは運用内容を開示しません。資金の出し手は年金や大学基金、政府系ファンドなど限られた顧客であり、彼らも投資のプロであることから、公募投信などと比べて報告義務や規制は緩くなっています。一般向けのホームページさえ設置しないアクティビストもいるほどです。


 ただし日本では、いわゆる5%ルールが存在します。上場企業の発行済み株式数の5%超を保有する株主は、大量保有報告書を提出する義務があるというものです。保有割合が1%増減する場合も変更報告書を出さなくてはなりません。これを追っていくことで、コバンザメ投資が可能となります。



プロ投資家であるアクティビストを銘柄選定に活用


 保有割合が5%以下の動きは見えないため、あるアクティビストが株を買い始めた時点、あるいは売り切った時点を正確には把握できません。ただし5%以上になった時点を入り口、5%以下になった時点を出口として考えることはできます。また買い増ししているのか、売却を進めているのかといった大まかな姿勢も把握することができます。


 前述のとおり、アクティビストの多くは顧客以外に運用内容を開示しません。逆に言えば、短期的な成果を外部にアピールする必要がなく、顧客のリターンを上げることに集中できるということです。これは、期限や投資先を自由に決められる個人投資家が参考にするのにふさわしいと言えます。


 アクティビストへのコバンザメ投資は一部のヘッジファンドも行っているようです。プロとは言え失敗することもありますが、銘柄探しをしている個人投資家にとって有益な情報となるでしょう。



さえないバリュー株を長期で支えるアクティビスト


 アクティビストは経営や資本政策の改善によってリターンを狙うため、投資する企業はPBRやROEが低い銘柄が多くなります。一見、さえない銘柄のように見えるかもしれません。特に日本株では、割安な銘柄がいつまでも割安のままということもありがちです。


ただしアクティビストが投資を開始したということは、プロ投資家がリターンを上げると決意したということになります。短期的なリターンを求めるケースには気を付ける必要がありますが、ある程度長期的な視点で企業価値を伸ばしていけるという判断がそこにあると考えられるでしょう。


日本ではアクティビストによくないイメージを持つ人もいますが、アクティビストの提案を受け止め、自社の経営に役立てていこうとする企業も増えています。企業と投資家との対話が進んでいくことで、企業の経営の質が高まれば、日本全体の企業価値底上げにつながるでしょう。投資を通じ、その動きを追いかけてみるのもいいのではないでしょうか。



THE CODE のデータベース

※THE CODEがアクティビスト(アクティブ投資家)ととらえるファンドが提出した大量保有報告書のみを配信しています。

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